| このケーキはマロンのムースという形で出してますけど、このお菓子を作るに当たっての大事な点は、途中途中で必ず味を見るということです。これは即興的に作るもので、工場生産とかそういうのには向いてないものです。このお菓子を僕はなぜやったかというと、どうしても一つだけそういうものを作って欲しいという要望があり、また自分の経験としてレストランに勤めている時に、そういうケーキが至急欲しいと言われて、その場で即興的にやったものです。作業的にも簡単ですし、早くできます。ただ、必ず味を見ながらやって下さい。お菓子屋さんはとかく配合に支配されがちですけど、自分が味を決める、自由に味を決めていく、というお菓子です。
栗はこれは自分のところで煮た渋皮煮を使っています。栗がすでにおいしいですから、あとはマロンのクリームと生クリームですね。それらで伸ばしていくわけですが、47%という脂肪分の高いものですと、保形性は良いのですが、生クリームの味が勝ってしまう場合があるので、生地の状態と味を見ながら、35%の生クリームを入れてみたり、牛乳を入れてみたりして、状態と味を見ながら作ります。生クリームや牛乳の味を活かしつつ、マロンの味を活かす、自分の感覚でものを作っていく、そういうケーキです。
渋皮煮は栗の鬼皮をむいて、一回柔らかく煮て、糖度の低いシロップの中に入れたら、さらに軽く煮ます。次に砂糖をまた足して、という要領で糖度を少しずつ上げて栗の中に糖分をしみ込ませます。これをいっぺんにやろうとしても栗が固くなるだけです。栗によっても、栗の煮方とか、砂糖の入れ方というのはやはりその時仕入れた栗の種類や固さや熟成具合でやり方が微妙に変わってきます。それは自分の感覚でやるしかないのです。大切にしてください。
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